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sunny漫画家・松本大洋の魅力

私はもともと松本大洋の描く作品が大好きです。

絵柄や魅せ方、ストーリー、漫画というものに必要なすべての要素において、群を抜いて才能に溢れる人だと常々思っています。

絵柄だけ見れば、どちらかというとイラストレーター寄りの、個性的であまり万人受けするようなタッチのものではありません。

けれど彼の描く漫画のページをめくると、動く、動く!まるでアニメや実写のように、スルスルと登場人物が動き出すのです。

そして実は、台詞がとても魅力的なものばかりだったりします。

彼の言葉選びは、漫画界では一、二を争うほど素晴らしいと私は考えています。

sunnyは児童養護施設で暮らす子どもたちを描いた作品

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松本大洋の作品には、ジャンルと呼べる括りがありません。

スポ根モノだったり、ヤンキーモノだったり…時代モノもあったりします。

そんな彼の作品のひとつに、Sunnyというものがあります。

これは『星の子学園』という児童養護施設で暮らす、赤ん坊から高校生、そしてそんな彼らを取り巻く大人たちの話です。

児童養護施設を題材にした漫画は珍しいものではありませんが、この作品は他のそれらによくある説明調のものではなく、ただ普通に子どもたちが暮らしているだけの、いわば日常モノです。

子どもたちが遊び、学び、喧嘩をし、食事をし、入浴し、眠る…ただ、それだけ。

それだけではありますが、彼らはそんな日々の中、訳あって共に暮らせずにいる「お母さん」を待っているのです。

sunnyは少ない台詞で表現する

前述した通り、松本大洋の作品は台詞が魅力のひとつでもあります。

特にSunnyは他の作品に比べ台詞の量が少ないのですが、ひとつひとつに重み、含みがあり、どれも胸に残ります。

こんなに少ない台詞で、ここまで多くのことを表現している漫画を私は他に知りません。

sunnyの体温を感じる登場人物たち

Sunnyのメインキャラクターのひとりに、春男という白髪頭の小学生が居ます。

言葉遣いは汚いし素行は悪いし、とんだ悪ガキである彼ですが、ごくたまに会うことができるお母さんの前では、まるで別人です。

お母さんのことが好きで好きでたまらない彼の姿が、星の子学園での姿とあまりに違うので、微笑ましいと同時に少し、胸が痛くなります。

春男がどれだけお母さんを求めても、お母さんは彼に自分のことを“お母さん”ではなく、名前で呼ばせるのです。

その他、様々な子どもたちが登場しますが、それぞれに個性や事情があり、読み進めていくうちに、心配したり、安心したり…過度な表現や描写がないので、まるで自分も彼らと一緒に暮らしているような気分になります。

夕飯の席で騒いだり、泣いたり、普通なら紙面から伝わるはずのない生活音や味噌汁のにおい、登場人物たちの体温まで感じられる気がするのです。

sunnyのネタバレは?

本当ならネタバレも交えてオススメしたいのですが、この作品に関しては、すぐ身近で繰り広げられているような、とてもリアリティのあるものなので、ネタバレはあえて控えようと思います。

彼らの日常を、一通行人や野良猫のような目線で見て欲しいのです。

食卓に同じおかずが続いても、同じ一日は続かないので。