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目次

ヘルズキッチン『料理をする目的、それは自分が食べられる為!?』

料理漫画の目的といえば、「一流の料理人になる」「おいしい料理を作る」「料理大会で優勝する」というものが多いのではないでしょうか。

料理を主題にした場合は比較的分かりやすい目的を据えて、作中で登場する料理の作り方や見た目、美味しさ等の印象を強くし、読者に伝える事が多いですよね。

料理人が当該漫画作品を監修している場合も多く、登場した料理を実際に作る事もでき、勉強になる事も多々あります。

では、この作品の目的は何かと言うと、「自分が食べられる為に料理を勉強する」です。

もう、バッドエンディングしか見えないその目的に誰しもが衝撃を受けてしまいます。

物語は主人公である何の取り柄もない中学生三年生の少年に地獄の美食家(超美形)が取り憑くところから始まります。

取り憑いた理由は地獄で美味とされる「本物の料理人の魂」を食べたいからであり、本物の料理人は現実には存在せず、何の取り柄もない凡人中の凡人である少年を、文字通り0から育て上げる為という唯我独尊で恐ろしく気長な理由なのです。

主人公は料理などした事がなかったのですが、地獄の美食家に教えられながら初めて作った料理を食べた想い人がおいしいと満面の笑みを浮かべた事から、徐々にのめり込んでいきます。

自分が最終的には食べられてしまう事を知りながらも、「食の東大」と呼ばれる学校で日々、料理に励む主人公の運命や如何に!と言った感じで物語は進んでいきます。

ダークに思える目的に反して作風はコメディタッチで、ドタバタな日常を描いており、軽快なストーリー展開は読み易いの一言です。

ただ、目的が・・・ね。

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ヘルズキッチン『ありきたり・・・と見せかけて見た目も中身も個性強過ぎる登場人物たち!』

取り柄のない少年とその少年を己の欲望のままに育て上げる為、日々、超絶スパルタトレーニングを施す地獄の美食家。

そんな二人を取り巻く学校の生徒や教師たちは凄まじく個性的な性格と外見をしています。

このキャラクターデザインは私的にこの作品の最大の魅力であると感じております。

無人島で即席ツリーハウス(超立派)をあっという間に作ったり、新聞配達でその新聞をプロ野球ピッチャー顔負けの速球とコントロールで郵便ポストへ投げ入れると言った凄い特技を持ちながらも肉料理のスペシャリストを目指す少年は成績が伸び悩んでいます。

主人公の事が大好きな少女は包丁マニアで、手持ちの包丁全てに名前を付けており、飾り切り等、その扱いも他の追随を許しませんが、胸が小さい事が唯一の悩みで、怒ると磨き抜かれた包丁でズバッと。

厳格で有名な先生は心労から来る胃痛に、日々、苦しめられており、胃薬の過剰摂取は日常茶飯事。

時には間違えて画鋲をザラザラと流し込む始末。

しかし、その厳しさの裏には生徒一人一人の成長を心から望む優しさが秘められています。

でも、ストレスが臨界点に達すると陶芸に没頭するという、異名持ちの元ヤンキーなのです。

とまあ、簡単に挙げただけでもこんな感じです。

容姿やファッションも一人一人の性格や嗜好を見事に表現されており、一見の価値あり。

作画は女性向けな柔らかいタッチですが、男性でも楽しめる奇抜さや躍動感も併せ持っており、性別を選ばずに読める仕様です。

ヘルズキッチン『最大の謎、天厨士とは』

単行本第13巻を持って第一部が終了した本作ですが、この物語の核とも言える「天厨士」という存在が徐々に浮き彫りになってきました。

地獄の美食家をして本物の料理人の魂に一番近いと言わしめ、教師陣ですら学生時代には挑む事すらできなかった存在。

主人公を含めた一部の生徒はその天厨士を目指すべく、新たに新設された学科「天厨士科」へと入るところで第一部の終了を迎えます。

天厨士とはどのような存在なのか、本物の料理人とは天厨士を指すのか。

最大の謎にして、この作品の答えの一つがそこにあると思われます。

第一部最終話では、天厨士の力の一端が、誰もが口にした事のあるあの料理で語られています。

その味を知るまでに歩んだ道のりと、これから目指すべく味に挑む彼らを是非一度ご覧下さい!