もうこれしかありません。
「ベルサイユのバラ」 。
私はこちらを推薦いたします。
幼き頃、「マーガレット」という集英社の発刊する漫画雑誌に連載されているのを読んだ記憶があります。
20代だった叔母さんが買って机に置いていたのを、コソッと横から読みました。
はじめて手に取った漫画雑誌。
感動しましたね。
美しい絵の数々。
自分もこのようなものを描きたいと幼いながらも思ったものです。
特に「ベルサイユのバラ」の池田理代子先生の絵の美しさといったら。
まさに素晴らしいの一言につきますね。
王妃「マリー・アントワネット」の結い上げたブロンドの髪、ロココ調のドレス。
ベルサイユ宮殿で繰り広げられる貴族達の優雅な生活、舞踏会。
どの場面も綿密に端正に描き混んでおられます。
この時の感動がずっと心に残っていて、短大生の頃に単行本を全部揃えてしまいました。
そして、美しいと思う絵の上に薄紙をのせて何度も何度も絵を写し練習したものです。
人物の表情、建物や着物の細部まで丁寧に写し取っていくうちに、益々、池田理代子先生の絵のファンになっていきました。
絵ばかりではありません。
手元に全巻あるわけですから、じっくり読む事が出来るわけです。
こんなに嬉しい事はないですね。
私は元々、歴史オタクで「フランス革命」を挟む以前と以後の貴族や民衆達の生活思想の変化がとても興味深くて、ストーリーに一気に引き込まれてしまいました。
お風呂まで持って入り、読んでいたほどです。
登場人物では特に「オスカル」が好きでした。
女性として生を受けたのに、ジャルジエ家、生家に男の子後継がいないが為に男性として育てられてしまいます。
まだ、太陽王、ルイ14世が統治していた時代やルイ16世のまだ初期の時代は「男」として、将校として彼女はその役になりきっていたと思うのです。
疑問もなかった。
でも、成長し様々な出会いを経験し、「恋」をしたり、告白を受ける。
本当の「男」であれば経験せずに済んだ苦しみや悲しみです。
この「オスカル」の悲痛な心の叫びがさらに内容を深め、読者の共感を読んだのではないでしょうか?そして、まだ、「オスカル」の苦しみは続きます。
革命の嵐が吹き始めた頃、「男として生きよ」と指し示した「オスカル」の父が「女として生きよ」と「オスカル」に話すのです。
将軍として革命に生きる「娘」、いつ死ぬかもしれない定めに「親」としては耐え難いものがあったのでしょう。
考え悩んだ結果、「何処かの貴族の奥方になる方が良い」と判断します。
しかし、当の「オスカル」はショックを受けます。
誇り高く武将として今まで生きてきたわけです。
簡単に「はい、そうですか。」と生き方を変えられるはずがありません。
彼女は最後まで「軍人」として生き、散りました。
「オスカル」が戦死する場面を読んで何度も泣きましたね。
最後に捉えらた「ルイ16世」、「マリー・アントワネット」や「子供達」が牢獄のバスチーユで暮らすシーンがあります。
ルイ16世やマリー・アントワネットが処刑された後、その残された子供達はどんな人生を生きたのかとても興味があります。
閉じ込めらた牢獄の中で亡くなったとか引きとられたとか諸説ありますね。
幸せな人生であったと記載されたものを読んだ事がありません。
フランスは革命後も様々な変化を経験していきます。
天下を取ったものが処刑される事が度々起こりました。
そんなふうに考えると「オスカル」が革命で、自分の生き様を全うできたのはそれはそれで良かったのかな?と最後に思った次第です。