現在14才の息子は、小さい頃より明朗活発で利発な子でした。
幼稚園でも率先して先生の手伝いを率先してしたり、コミュニケーションスキルにも長けていました。
じっとしてはいないため、小さい頃は大変だったものの、先生から特に何も言われたこともなく、男の子ってこんなものかと思っていました。
その後アメリカに引っ越し、中学生になってからです。
うちの息子は他の子と違う?と思うようになったのは。
アメリカでの成績は、宿題・提出物の全てにA-Fまでの成績が付きます。
その平均点がそれぞれの教科の成績になります。
学力テストのスコアも高い息子はそれまでオールAの生徒でした。
それが中学になり、未提出物=0点=F ですので、成績が落ちたことの理由を突き詰めると、未提出の宿題がたくさんあったのです。
息子の部屋は汚く、学校に持っていくカバンの中もぐちゃぐちゃ。
どの教科の宿題をいつまでに提出ということも、当然把握していません。
宿題はするのですが、それを提出することを忘れてしまうのです。
この時点でADHDの可能性を疑い、専門医に診断を仰ぎました。
話を聞いて、典型的なADHDの特徴があると言われるものの、ここではADHDではないと診断されます。
数字に関する能力が抜きん出ているとの指摘もありました。
ADHDでなかったら何なのか?どうしてこれほど忘れっぽいのか?
息子は携帯をなくしたことも二回あります。
不注意だらけです。
私自身はADHDの可能性を捨てきれず、引き続きADHDの文献を読んだりしていました。
だらしないことに対する「お仕置き」よりも、これが出来たら◯◯を与える、という方法が効果があると知り、オールAになったら欲しいものを与える、と息子に言い渡しました。
それは息子の周りの友達が持っているiPhone、iPad、ゲーム機器さまざまな、息子の「欲しいもの」です。
それまではデバイスやゲーム機に関しては厳しくしていましたから、息子はやる気を見せました。
そして、毎日一緒に「明日提出するもの」を確認し、学校から帰ってきたら再度確認します。
勿論、注意力散漫な息子が急に変わるわけではないので、それでも、未提出物は時々発覚しましたが、その度に、また翌日先生と話す、提出する、などの確認を行いました。
そして息子はオールAに戻り、13才で中学を卒業します。
この時点で息子は、良い成績にこだわりを見せ、高校ではある特殊なプログラムに応募し合格。
そのプログラムでは14才にして大学の授業も取るということになります。
ですから、宿題の量も半端なく、その他の教科も全て本来の学年よりも進んだものになります。
このプログラムに応募したいと言った時、私も夫も反対しました。
大学進学にとても有利になり、真面目な子には適しているプログラムですが、息子のような努力家ではないタイプには、命取りになり得るので、ある意味ギャンブルのようなものです。
息子も一度は諦めたものの、高校のオリエンテーションでそのプログラムの説明会を聞いて、どうしても応募したいと言い、親としてはノーと言えませんでした。
そして高校生活が始まります。
最初の2ヶ月は問題なくオールAには親の方がびっくりしたくらいです。
そして息子は空手も週に6クラスこなしていました。
そして最初の未提出の宿題が発覚、それからもずっと続きます。
途中過程の成績をオンラインで毎日チェックできるのですが、未提出は0点ですから当然、成績は悲惨なものになります。
教科によっては提出が1日遅れたら50%の点数しかあげない、2日以降はどんなに100点の出来でも0点しかあげないという先生もいます。
最初の未提出の理由は、「名前の書き忘れ」でした。
息子曰く、名前の欄があれば書くけど、高校になって名前の欄がない宿題もあり、そうすると忘れてしまう、と。
最初に名前を書く!これを癖にするように!と言っても忘れてしまうと言います。
これに関しては、家でやる課題については、名前を最初に!と口をすっぱくして言いますが、だいたいの確率で名前を忘れています。
そしてその後も次々に発覚し続ける未提出物の数々。
その度に各教科の先生のところへ行って名前なしの課題の中から自分のものを探す作業が必要になるのですが、それすら忘れてしまうことも多々あるのです。
高校入学当初は、学校でもらった宿題など書き留める手帳が小さいから、もっと大きいものが欲しいと本人の希望で買った手帳も、結局使わなくなりました。
そして未提出物は、名前を書いてちゃんと各教科の先生に提出したという息子の言葉を信じていましたが、成績が一向に変わらないので、各教科の先生に連絡を取ってみると、息子は先生に話しにきてもいないし、未提出物はそのままということが分かります。
嘘をつくようになった息子に激しいショックを受けました。
そして私は思い出したようにADHDの文献を読み始めました。
どう考えても症状が息子に当てはまるのです。
ADHDの子の中には、後で必ずバレる嘘であっても、発作的にその場限りの嘘をついてしまうというのもありました。
この件については、家族とは血縁だけでなく、信頼で繋がっているものだから、家族を信頼できなくなると家族の絆が壊れてしまうこと、嘘が信頼を壊すことを話しました。
息子も頭では分かっているのだとは思いますが、反抗期も手伝ってか、反抗的な返事しか返ってきません。
息子の立場からしたら当然の反応かもしれません。
それまでオールAで得たiphone、iPad、ゲーム機全てを没収されたのですから。
私も取り上げたくはなかったのですが、宿題が終わらない合間にこれらの機器を使ってゲームをしたり友達と話したりしているのを何度も見つかっているのですから仕方ありません。
相変わらず未提出のままの課題、本人は名前を書き忘れたと言っていましたが、各教科のノートを全部チェックしてみたところ、本人が「提出した」と言っていた課題が、手付かず、または途中経過のまま、ザクザク出てきます。
あまりに多すぎて本人は「提出した」気になっていたのか、それもその場限りの嘘なのか、それさえも分からない状況です。
もう本人にやる気がないのだけは伝わってきます。
学校のカウンセラーとも連絡を取り、面会に行きますが、私たちが連絡を取る以前にすでにカウンセラーは息子を呼んで話したとのことでした。
それほど目立っていたのでしょう。
カウンセラー曰く、この特殊プログラムにいる子供達は、今まで勉強をせずにAを取れた子達がほとんどで、大学の授業を受けることになってその宿題の多さと実際に勉強しなければいけない現実に、戸惑っている段階、でも今学期の成績が悪かったとしても次の学期には気付いて頑張る子がほとんどということでした。
このプログラムを辞退しようかと話したところ、カウンセラーからは、自分の経験からすると息子さんは大丈夫だと思うから辞退は勧めないとのことでした。
実際、息子の場合は、学力が問題なわけではないので、普通クラスに行ったとしても、未提出の課題が続けば同じ結果になるだろうと思ったので、経過観察していくことにしました。
14才で大学のクラスを取っている子供達ということを考慮して、未提出の課題をギリギリまで受け付けてくれる先生もいます。
学期が終わりに近づき、息子もこの成績が直接大学入試に関わっていることに気付いたのか、夜遅くまで起きて複数の未提出の課題を仕上げるようになりました。
しかし、一個づつ未提出の課題をこなしていっても、次から次へと新しい未提出の課題が発覚します。
まるで、大きな借金を背負っている自転車産業のようでした。
スクールバスに乗るため、朝6時には家を出なければいけないので、かなりの睡眠不足です。
ADHDの子は特に十分な睡眠が必要なのですが、睡眠不足により、さらに集中力が低下してしてしまい、悪循環になっています。
ADHDの文献を調べる中、ADHDの子の多くが「セリアック病」も併発していてグルテンに対してアレルギー、または「グルテン過敏症」というセリアック病ほど表面化しない症状を抱えている可能性があることが分かります。
セリアック病はアメリカでは平均して133人に1人、グルテン過敏症は米国人の10%以上を占めるとも言われています。
そしてその症状は頭痛、疲労感、筋肉痛・関節痛・腹部膨満感など、セリアック病と同じとされています、ADHDの心理面や行動面の症状と、セリアック病やグルテン過敏症の症状が重なっていることが分かっており、セリアック病をADHD症状チェックリストに含めるべきだ、と声もあるほどです。
息子も食後によくお腹を下していたこともあり、病院でアレルギーテストをお願いしたところ、小麦に対してのアレルギーがハイクラスではないものの発覚しました。
そして、グルテンフリーの食生活をすることになります。
グルテンとは、小麦に含まれるタンパク質で、糊状のアミノ酸であるプロリンに含まれる他、プロラミンと呼ばれるタンパク質に多く含まれています。
プロラミンは、米やとうもろこし、オート麦などすべての穀物に含まれていますが、小麦だけが、自閉症スペクトラム障害がしばしば伴う重篤な神経学的・自己免疫反応に関連づけられているのだそうです。
グリテンフリーダイエットは、成長期で食べ盛りの男の子ですから、大好きなピザやサンドイッチ、パスタまで自由に食べられないのはかなりストレスだろうと思います。
パスタに関してはグルテンフリーのものを買いだめし、シリアル、スナックなど出来るものは全てグルテンフリーのものを揃えました。
ADHDと診断された子を持つ親の中には、薬には絶対に頼りたくない、という親もたくさんいます。
我が夫もそうです。
ADHDの薬の副作用に鬱や自殺願望があったり、また、或る日突然残酷な事件を起こす犯人の中にADHDの薬を飲んでいたケースが幾つかあるのも懸念する理由だと言います。
ADHDに関する文献では、食事療法でかなりの改善が期待できるとのことです。
その食事療法とは以下のようなことになります。
特に重要とされているのは、ADHDの子には基本的に糖質類を与えるべきではないということです。
これは鬱病や統合失調症など人の血糖値が高いことから、ストレス障害への関係が懸念されているからだそうです。
甘いものはたくさん摂取することにより、脳の活動が活発になり、集中力の欠如に繋がってしまいます。
今回我が家では、ハロウィンでもらったお菓子の全てを処分しました。
そして、これまで時々飲ませていた清涼飲料水も今後は買わないつもりです。
フルーツジュースに関しても、オレンジジュースが好きな息子には完全に断つのはストレスにもなりかねないので、飲みすぎないように調整していかなければいけません。
全ての加工食品を避けるべきということも指摘されています。
特に果糖、合成着色料、合成調味料、合成保存料を含むものは症状を引き起こしたり悪化させたりする可能性があります。
我が家では基本的にファストフードは食べていませんし、通常レトルト食品なども使用しません。
しかし、醤油、加工肉、さまざまな無脂肪・低脂肪食品にも通常隠れているのだそうです。
もちろん完璧な除去は難しいですが、できる限りで加工食品は避けるようにしています。
また、肉中心の食生活も避けるべきで、おすすめは魚と野菜中心の食生活です。
魚と野菜中心の食生活では、脳の動きや神経伝達に非常に重要な要素である必須脂肪酸やDHAも摂取出来るからです。
ですが、住んでいる場所柄、魚がいつも新鮮な状態で手に入るわけではなく、また、魚は煮ると20%、フライではその倍以上の栄養素が失われることもあり、サプリメントに頼るのが一番効率が良いという結論に達しました。
フィッシュオイルのピルが効果的と知り、早速毎日飲ませるようになりました。
それから、オメガ3脂肪を増やすことも推奨されています。
オメガ3脂肪には、悪玉コレステロール値や中性脂肪値を下げる、生活習慣病予防効果、関節痛、リウマチを改善、花粉症、アトピー性皮膚炎を改善、大腸炎を改善、などの他、脳の活性化、記憶力のアップ、抗うつ作用、ADHDを改善、精神病の前駆症状の予防という脳に関係する効果があります。
オメガ3とADHDの研究から様々なことが立証されてきています。
・ADHDの子供でオメガ3脂肪酸値が低いと、感情コントロールに乏しい。
・ADHDの子供で感情コントロールの問題がある子どもはオメガ3が低く、同じADHDでもオメガ3が高ければ、感情コントロールの問題は少なかった。
・オメガ3を16週の摂取でADHD児と、非ADHD児ともにADHD症状(不注意)が軽減した。
・ADHDの薬とオメガ3を同時に取ることで、薬の量が少なくとも同じ効果を感じることが出来きた。
我が家では今回、チアシードを毎日出来るだけたくさん摂取させるようにしました。
チアシードをわずか10g食べればオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸を2g食べることとなり、厚生労働省の推奨摂取量、(成人男性で1日約2.2g、女性2.0g以上)をほぼクリアするというスーパーフードとして知られています。
今回我が家が実践することにしたADHDに効果な食事療法として、まとめると3つのことになります。
・グルテンフリー
・フィッシュオイルピルの摂取
・チアシード(オメガ3)の摂取
息子は、集中できないことが多々ある、忘れっぽい、というのを自覚しているようで、グルテンフリーダイエットに関しては時々盗み食いがあるものの、フィッシュオイルピルやチアシードは毎日摂取しています。
まだこれらのことを始めて1ヶ月ほどなので効果はわかりませんが、本人曰く、集中力はアップしたような気がすると言っています。
では実際はどれくらいで効果が出るのでしょうか。
ADHDでセリアック病の陽性反応が出た人に対し、6ヶ月以上グルテンフリーの食生活を送ってもらうと、症状が大幅に改善したという研究成果があります。
グルテンフリー食の効果は一晩で現れるという訳ではないようです。
急速に改善が見られる場合もあるようですが、小腸の壁が完全に修復されるには9~12ヵ月を要する場合もあるそうです。
一般に、症状の解決が期待できるまでには、グルテン除去食を6~9ヵ月は続けることと言われています。
ADHDの症状と腸の健康には密接な関係があると言われていて、様々な神経疾患に胃腸が関与することを示す証拠もあります。
脳と腸は、同じ種類の組織から作られていて、胎児として発達を続けている時に、一部は中央神経系となり、残りは腸神経系へと発達し、これら二つの系は迷走神経を経由して繋がっています。
緊張するとお腹を壊すなどの現象はそのためだと言われています。
腸にたまった有害物質は体中をかけめぐって脳に達することがあり、そうすると自閉症、ADHD、ディスレクシア、ディスプラクシア、うつ、統合失調症、およびその他の精神障害の症状を引き起こすことがあるのだそうです。
自閉症やその他の学習障害の急増は、腸に原因があり、腸心理症候群の名で知られる病状なのだそうです。
以前、息子がADHDと診断されなかったのは、学校の先生からも問診票が必要で、その中の一人の先生がADDでは?と思うほど忘れっぽく、その先生から息子への評価は完璧な生徒、と評価されたことが原因だったのでは?と、実は私は思っています。
近いうちに以前とは別の専門機関にて、もう一度ADHDの最診断を受けてみようと思っていますが、例えADHDと診断されたにせよ、薬の摂取は最終手段としてのオプションであるべきで、避けたいと思っています。
食事療法で、文献で読んだようにADHDにそれだけの効果があるのなら、是非実践して効果を期待したいです。