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環境と色彩
人が社会生活を営む上で、色彩の果たす役割と効果は様々な場面で発揮されます。
環境に適したカラープランニングを立案することを「環境色彩計画」といいます。
環境色彩計画は安全性や機能性を考慮し、また地域全体の色彩調査を図ることによりその地域の建物や空間の価値より高めることになります。
環境の色彩には建物のインテリアやエクステリア、道路や公園・街路樹、電車やバスなどの交通機関から看板に至るまで、環境を構成しているものが含まれます。
それを1つの大きな景観、空間としてとらえ、その目的に対して適切な表現方法を検討しカラープランニングを実現させていきます。
伝統を大切にする京都やヨーロッパの街並みと、テーマパークなどがある楽しい雰囲気を持つリゾート地では、求められる色彩も効果も異なります。
このように、環境の色彩計画は様々な目的や用途に応じて計画を求められることがあります。
色彩には機能的効果、美的効果、感情効果の3つの効果があります。
機能的効果は、安全性や利便性、生産性などを求めるために使われる色彩の効果です。
電車の路線図や工場のスイッチの色などは視認性を高めることによって、見やすくわかりやすい、使いやすい、効率が上がるなどの利点があります。
また信号機の色は安全を守り交通に秩序をあたえるという機能的な役割を果たしています。
環境の色は1つの効果のみを取り上げて計画するのではなく3つの効果をバランスよく取り入れ、それぞれの色彩を調和させるように工夫します。
色彩計画の目的と効果
色彩環境計画は、まずどのような目的で使われているのかということを明確にし、さらにその色彩にした時にどんな効果が得られるかを予測して計画しなければなりません。
①秩序やまとまりを考える
素材や大きさなど異なった要素を持つものが集まると、統一感や秩序にかけてしまいます。
その場合、色相またはトーンで共通性を図ると全体的に秩序が与えられます。
②空間を見やすくする
空間の中で色がバラバラに配置されていると、無秩序で落ち着きのない印象を与えます。使用する色彩を整理しバランスよく配置すると空間はスッキリと見やすくなります。
③印象付ける
シンボルやランドマークのような建物は見る人に何らかの印象を残す必要があります。
その場合、色彩は周辺環境に馴染まぜる事だけを考えるのでわなく、特徴を与えてそのものをより印象深いものにします。
④個性を与える
他のものと区別したい、個性を与えたいというときには、周辺の色と特徴の異なる色使いが効果的です。
色を変えることで見る側に誘目性を与えます。
ただし、どのようなイメージや個性を表したいかを明確にする必要があります。
⑤周りの色と明らかに異なる色を使う
周りの色と明らかに異なる色を使うことで、そのものは差別化され空間の構成は明確に区別、認識されます。
⑥エリアを区分する
アリアごとに壁面や床の色を変える、またラインの色で空間を区切ると空間は区分されて、使用する人が分かりやすくなります。
その結果安全の確保ができ、自動車や人の流れがスムーズになります。
このように環境の中には様々な色の使われ方をしています。
他にもこのよう色彩計画がなされているシチュエーションを紹介したいと思います。
色彩計画の目的効果2
⑦オリエンテーション・インフォメーションを容易にする
矢印や案内板に目立つ色や決められた色をつけると誘導が容易になり、事故や混乱を避けることができます。
⑧精神状態を安心させる
色の配置を間違えたり、その場や目的にそぐ合わない色使いをすると、人のここをは不安定になり心地よい空間にはなりません。
天井に暗く重い色があると圧迫された感じがし、反対に足元を落ち着いた色にすると安定感、安心感が得られます。
⑨温度感を調節する
暖色は実際よりも温かく温度が感じられ、寒色はより低く感じます。
温かさやくつろぎが求められる場所には暖色系を、涼しさや落ち着きが求めたられる場所には寒色系を配します。
緑や紫は中性色を呼ばれ、温度感をあまり感じさせません。
⑩効率を上げる
強く刺激のある色に囲まれると落ち着かず、集中力や注意力が散漫になります。
また疲労感も早まる為オフィスや勉強部屋など集中力や生産性を重視する場所は、ソフトで刺激の少ない色使いにします。
⑪素材感を強める、やわらげる
素材の持ち味を生かす場合は、素材そのものの色をそのまま使用するか、より強調色使いにします。素材感をやわらげたり消したい場合には、着色そのものの印象を変化させます。
⑫機能を明確にする。
同じものに必ず決まった色を使用すると色は記号の役目をします。
色は記号の役割を果たします。人はその色を見て、その目的や意味を理解するようになります。
このように色彩は日常生活の中で色んな所で働いているのです。