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〈この漫画を知ったきっかけ〉
作者きら という少女漫画家の「まっすぐにいこう」という犬物語が好きで、同じ作者が描いた新しい漫画だったので1巻だけ購入して読んでみることにしました 。
最初はほんの興味本位で読み始めただけでしたが、その面白さにはまり込んで何度も読み返し、続きが気になって続巻が出るのを心待ちにするようになりました。
笑いあり、ドキドキあり、ほんのり涙ぐむといった人間ドラマ満載の漫画で、出てくるすべてのキャラクターに愛着を感じて、感情移入すること間違いなしです。
〈このまんがの見どころ〉
主人公のたまは自分がポッチャリ太っていて、そのために彼氏にフラれたり、スリムな女性を見ては羨ましいと感じたり、ショーウィンドウに映る自分を見ては落ち込むという、自分に劣等感を抱いて毎日の生活を送っています。
そんなある日プール見学に来ていた彼女はそこで行われているシンクロのコーチに入会を勧められます。
そのコーチが爽やかなイケメンでたまは一瞬にして恋に落ち、即入会を決めます。
始める動機は不純なものではありましたが、人を好きになるエネルギーは素晴らしい力を発揮させるものです。
たまは運動神経が悪く、飲み込みも遅いため何度も怒られてはヘコむ毎日ですが、コーチに褒められたい一心でひたむきに練習を繰り返します。
そうすると努力というのは少しずつでもでてくるもので、最初より形になってきたり、大会に出場するまでになります。
体重も少しずつ落ちてきて、充実した毎日を送ります。
しかしそんな中でもコーチへの思いや自分が魅力のない人間であると思い込んでいる自信のなさからなかなかコーチに思いを伝えることが出来ず、もやもやと切ない片思いをしているたま。
読んでいるこちらがもどかしくなり、たまを応援したくなります。
〈魅力的なキャラクターたち〉
なんといっても一番の魅力的キャラクターはたまです。
決して美人とはいえず、ポッチャリ太っていて自分に劣等感を抱いているたま。
人は誰でも何かしらの劣等感や、自分に自信のない部分をもちあわせているもの。
たまが完璧な女性でなく、なおかつ純粋で真っ直ぐで愛らしいからこそ、彼女の努力を応援したい気持になります。
彼女が笑えばこちらもわらってしまうし、彼女が泣けばこちらも泣きたくなる。
彼女がドキドキすればこちらもドキドキする。
いつの間にかすっかりたまの気持になって読んでいる自分に驚かされます。
二人目の魅力的キャラクターはたまのお友達の女性。
一緒にシンクロに参加していて旦那様もいるおっとり癒し系の女性。
彼女もまた美人とはいえないけれどたまの悩みをやんわりとニコニコ笑顔で受け止めてくれる。
彼女の存在が楽しいときも悲しい時もどんなときでもたまの救いになってくれています。
三人目の魅力的キャラクターは長身でオシャレなオカマ美容師。
こちらはたまとコーチ共通のお友達です。
たまの恋愛事情を知り、猛烈にたまを応援してくれるます。
女心を良く知り尽くしていて、うじうじとじれったいたまについお節介を焼きたくなる性格です。
このキャラクターの存在はたまの恋愛を円滑に進めていく上でとても重要なキーパーソンとなります。
最後の魅力的キャラクターはたまが想いを寄せているシンクロのコーチ。
この男性、イケメンで爽やかで優しそうな第一印象とは裏腹に鬼コーチで口が悪いというギャップがあります。
見た目は完全にイケメンなのに、中身はTHE男!!といったかんじです。
男気があり、一生懸命シンクロを教えてくれる熱い人間。
熱いといっても熱血ばかではなく、冷静で賢い面も持ち合わせており確かにカッコイイ。
でもそれゆえか女心はなかなか理解できません。
彼は辛い過去を引きずって生きています。
〈ネタバレ〉
たまとコーチはシンクロを通して仲良くなっていきます。
でもなかなか想いを伝えることができないたま。
しかしある日コーチと二人で居酒屋に飲みにいった席でたまは酔っ払ってしまい、寝ぼけ眼の状態でコーチに告白してしまいます。
もちろんたまはそのことを覚えていません。
コーチもこれといって特別な反応はしません。
ですがたまの想いはしっかりとコーチの心に刻みこまれていきます。
〈オススメポイント〉
たまが不意にコーチへの告白をしてからの物語の展開が読みどころです。
ここでおかまの美容師のお友達が活躍してくれます。
〈感想〉
主人公のたまやまわりの人間たちの成長ぶりや心の変化がゆるやかに、でもしっかりと伝わってきます。
まるで漫画ではなくドラマを見ているような、まるで目の前の現実世界をみているようなリアルな面白さにどんどん引き込まれていきます。
キャラクター一人一人に感情移入してしまい、イラついたり泣きたくなったり大笑いしたりドキドキしたり…読み終えた後には何ともいえない爽快 がありす。
そして続きを想像したくなる。
最高に面白く、楽しく、心に残る名作だと思うので多くの人に読んでいただけたらと思います。