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目次

Flower~フラワー~の漫画を知ったきっかけ

2000年頃に、月間の別冊マーガレットに連載されていた作品で、別冊マーガレットを購読していたので知りました。

健常者の女子中学生が事故で生涯車椅子になってしまうという序盤のストーリーが衝撃的で非常に印象に残りました。

Flower~フラワー~の自分の心が動いたところ

この作品は、快活で雑誌の読者モデルなどまでこなしていた中学生、葵が自転車で自損事故を起こし、それが引き金で車椅子生活になってしまう話です。

足に障がいを持ってしまった葵のショックなど、かわいそうな描写もありますが、最も心が動いたのが、「同情的な視線」「かわいそうな葵」という視点で描かれた作品ではないという点です。

足に障がいがあっても、できることはいくらでもあるし、恋もするし、高校に行って青春を楽しみたい、と、健常者の中に普通に溶け込んで生活をしているという、「かわいそうな立場ではない」ことが徹底しています。

確かに主人公葵が歩けなくなってしまうあたりは、ショックが読者にも伝わり、いたたまれないのですが、立ち直った後の葵は生き生きとしており、障がい=不幸ではないというメッセージ性がある作品です。

Flower~フラワー~の見どころ

私は今まで、目の不自由な方をサポートする盲導犬は知っていましたが、足の不自由な方をサポートする介助犬の存在は、この作品で知りました。

その他、足の不自由な方にどのような配慮が必要なのか、車椅子の方は、駅を使う時などどういうことを考えながら電車を利用したりしているのかなど、福祉について知らない知識をたくさん学ぶことができます。

同時に、この作品の根幹は、葵と葵の彼氏竜太との恋愛でもあります。

怪我をする前も後も変わらない竜太の思いやりも見どころの一つです。

Flower~フラワー~の好きなキャラクター

根性がある主人公の葵も好きですが、どんな葵も変わらぬ愛情で包み込む、彼氏の竜太が好きです。

不器用なところもありますが、最初に葵が事故に遭った時にも、そのために恒例のキャンプに行けなくなった葵のために、葵の病室から見える場所でキャンプをするなどのアイデアを思いつくところなど、思いやりがあると思いました。

また、車椅子の先輩、北川が葵と仲良くしていると嫉妬するあたりも、正直でかわいいキャラクターだと思います。

Flower~フラワー~の感想

和田尚子先生の作品は、大河ドラマのような長丁場のスパンで描かれる連載が多く、この作品も中学時代から成人になるまでが描かれています。

現実問題、健常か障がいがあるかの問題以前に、中学校のころ(厳密に言うと仲良くなった小学校のころ)から、思いを寄せていた男子と結婚に至るという例はほとんどないように思うのですが、粘り強く相手と向かい合っていくということが見事に描かれていると思いました。

竜太が、葵を同情やかわいそうという気持ちから支えるのではなく、対等な立場で助け合っているという描かれ方がとても良いです。

また、まだ10代の竜太が、すでに「相手がどうなろうと変わらず向かい合う」という達観した精神を持っていることに大変好感が持てます。

葵の友達や家族も思いやりにあふれた人格者が多く、小学生から成人まで、福祉を知る教材としても素晴らしい作品だと思います。