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週刊ビッグコミックススピリッツ連載の丹羽庭作「トクサツガガガ」をご紹介します。

目次

特撮オタク必読マンガ!

私は当時3歳だった息子といっしょに当時放送中だった「獣電戦隊キョウリュウジャー」を見て、いわゆる「日アサ」、特撮ヒーローの魅力にとりつかれてしまった「にわか特撮オタク主婦」です。

若手イケメン俳優の登竜門と言われ、近年はママもファン層に取り込んでいる日アサですが、私はただイケメン俳優を目の保養にする為に視聴するという域を超えて、ややディープにこじらせてしまった感があります。

特撮は変身前のイケメン愛でる為のものではない。

もちろんそれも楽しいけれど、1年間かけて繰り広げられるドラマは3か月クールで入れ替わる普通の民放ドラマよりもよほど重厚で見ごたえがあるし、何よりも変身後のヒーローのかっこよさったらありません。

スーツアクターさんの身体の動きにはもう感嘆するのみです。

こういった楽しみを誰かと共有したい…!と思い、Twitterで同好の士を探しました。

私のような成人女性でも結構いるのです、特撮オタク。

そして、私よりももっともっとディープな方々も。

その女性特オタさんたちが「このマンガおもしろい!」と口ぐちに大絶賛していたのがこのマンガ「トクサツガガガ」です。

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内容

隠れ特撮オタクのOL仲村さんの身の回りで起きる事件を描いているマンガです。

特撮オタクならば深く頷いてしまう小ネタが満載。

朝の通勤時には歴代特撮作品のオープニング集を聞いてテンションを上げる!役に立たないものなのについついグッズを買い集めてしまう!等々。

作者さんの特撮作品への愛には頭が下がります。

少年少女時代に見た特撮作品は色々なものを教えてくれて、それは大人になっても心の中で生き続けている。

弱いものを助ける。

仲間を大事にする。

そんな事を道徳の教科書よりもストレートにあっけらかんと、何よりも「カッコイイ」ものとして教えてくれる。

ああ、そうだな…と深く納得してしまいます。

私も幼少期はスーパー戦隊シリーズや宇宙刑事シリーズを見ていましたから。

私見ですが、現代のママさんたちは特撮モノに対して興味無し以外の人は大きく2派に分かれていると思うのです。

「イケメンカッコイイ!ママが見ても面白いよね?」というミーハー派と「見せると子どもが攻撃的になると思う。

だからあえて見せない」というアンチ派。

このアンチ派の方々にこそ読んで欲しい!と思ってしまいます。

特撮作品は暴力を助長なんかしない。

暴力と破壊をカッコイイなんて言っていないことを分かって欲しいのです。

全てのオタクの方にも、そして非オタクの方にも

仲村さんの「特撮作品を愛しているけれどそれを公表することはできない、いい大人が恥ずかしい」という立ち位置も絶妙です。

一部のオープンな方々を除いては、特撮オタクに限らず、オタクは全般的にそうやって忍び、隠れているんですよね。

だから、このマンガは特撮オタクに限らず、全てのオタクの心にしみじみと染みる作品でもあると思います。

20代女性でありながらメインターゲットは10歳未満男子の特撮作品が大好きな仲村さんの他にも、30代で男性アイドルグループにハマっているOLさん、成人男子なのに少女向けアニメが大好きな男性。

巻を進めるとそんなキャラが登場します。

もちろん漫画的に面白くデフォルメされてはいますが、一方でとってもリアル。

興味があるのですが、このマンガを非オタクの方が読んだらどう思うのでしょう。

「理解不能だけど面白い」でしょうか?基本的にオタクは自分のことを理解して欲しいなんて思ってはいないのです。

ただそっとしておいて欲しいだけ。

むやみに白眼視したり迫害したりはしないで欲しい。

そして興味本位で近づかないで欲しい。

ひっそりと楽しみたい。

でも、だからこそオタクと非オタクの間には壁があるんですよね。

その壁が悪いとは思いません。

自分たちの快適な生活の為にはすみわけはどうしても必要ですから。

それでも自分の知らない世界を覗き見したいという好奇心のある非オタクの方には読んでみて欲しいですね。

好きなものを好きと言わない強さ

私自身は仲村さんほど隠れてはいません。

何といっても息子がいるので、私が「特撮好き!」と言っても「ああ、息子さんにつきあっているんだね?」と流してくれるひとがほとんどだからかもしれません。

聖地・水道橋、シアターGロッソ(※スーパー戦隊ショーをやっています。かつて「後楽園ゆうえんちで僕と握手!」は、現在「シアターGロッソで僕と握手!」なんですよ。)にも彼同伴ならば堂々と行けます。

もちろん、映画にも。

オタクに対して偏見がない一部のママ友には特撮オタクとしてカミングアウトもしています。

それでも、必死で隠れる仲村さんの気持ちは良く分かります。

仲村さんの場合、幼少時母親に「女の子らしいもの」を強要され、特撮作品を強いて遠ざけられたという過去が頑なに隠すという行為にもつながっているのかもしれません。

「これは私の為のものじゃない、私が楽しんでいるのはおかしいこと。」そんな考えが根付いてしまっているんだろうな、と思います。

特撮ではありませんがとあるジャンルのオタクである私の友人にはもっと酷い過去があります。

学生時代にオタクがばれて、それが理由でいじめにあったそうです。

仲村さんにしても、私の友人にしても、そんなことがあっても、隠して、世を忍んで「好き」を貫いています。

それはとても強い事だと思います。

好きなことを好きと言えることだけが強いわけじゃないんですよ。

私も立場や状況が違ったらもっと隠れていたでしょうし。

それでも隠れオタクに悲壮感はありません。

だって好きなものを好きなだけ愛でていられれば幸せなんですから!

おわりに

トクサツオタクには大人気の「トクサツガガガ」ですが、個人的には特撮に関わらず、スタンスが「隠れ」でもオープンでも、全てのオタクの方には読んでみて欲しいですし、非オタクのひとにも、そしてアンチ特撮のママたちにも読んで欲しい。

そんなマンガです。