中学時代、友人の影響で月刊『少年ジャンプ』を見ていた時期があります。
あのころは時代柄、不良少年とか暴走族、校内暴力などをテーマにした漫画が実に多かったのですが、その中でちょっと違った不良漫画に出会いました。
それが本宮ひろ志の『硬派銀次郎』なのです。
おそらく今の若い人たちはあまり知ってる人がいないのではないでしょうか。
目次
【ちょっと違う不良漫画『硬派銀次郎』】
もう、かれこれ40年近くも前の漫画ですから、すでに現物はなく、私の頭の中の記憶だけでしかこの漫画を語ることはできないのですが、確か主人公の山崎銀次郎はまだ中学生で、亡き兄貴の子どもを背負って学校へ行くというシーンから始まっていたと記憶します。
途中、不良たちにからまれながらも、その腕っ節の強さでねじ伏せる。
この漫画の主人公はケンカが強いという設定なのですね。
あのころの中学生たちはみんなケンカが強いという一点に強い憧れを抱いていたものです。
ですからこの漫画も、当時はかなり人気だったのですね。
【本当の硬派を教えてくれる漫画】
私たちが中学生のころ、回りは不良、いわゆるツッパリというものが本当に多くいました。
それで、誰もがカッコいいと感じたのは、硬派、というものなのですね。
いわゆる軟派というのは、チャラチャラした女好きのことを言い、硬派というものは女にいっさい興味を示さない堅い男、というイメージが強かった。
でも、それはちょっと違うと気づかされるのです。
この漫画を見て。
『硬派銀次郎』の主人公である山崎銀次郎は、やっぱり女に興味を示さないという点では誰もが思う硬派なのでしょうが、彼には一本の堅くて強い意志があるのですね。
そういうものを持った男を真の硬派と呼ぶのだと、この漫画は教えてくれたような気もします。
あのころの私もずいぶん銀次郎に憧れたものです。
それで、月刊誌で連載が終了しても、どうにかコミック本を手に入れて、何度も何度も読み返したものです。
ちょっと大げさかもしれませんが、自分の人生のテキストのように思っていたのかもしれませんね。
【短い連載でも心を強く惹き付ける力は絶大】
それから数年後のことです。
なんと『硬派銀次郎』の続編が週刊『少年ジャンプ』に連載されると耳にして、私は毎週『少年ジャンプ』を買うことになったのです。
そして目当てはもちろん、『硬派銀次郎』の続編です。
続編は『山崎銀次郎』という題名で連載されました。
当時、週刊『少年ジャンプ』には本当におもしろい漫画が多く連載されていましたから、私は『山崎銀次郎』の他にも楽しむことはできたのですが、やっぱり毎回一番続きが気になるのは『山崎銀次郎』だったのですね。
『山崎銀次郎』のストーリーは、おもに銀次郎の高校時代が描かれていました。
コミック本にしてわずか5巻という短さなのですが、その内容は本当に濃いものです。
そして、最終話では、長年、銀次郎を思い続けていた高子という女性と結ばれることになるのですが、ここがまたたまらない。
現代、多くの人気漫画はかなり長く連載を続けていますね。
中には70巻を軽く越えるものも少なくない。
『硬派銀次郎』全9巻、『山崎銀次郎』全5巻。
けして長いというものではありません。
でも、それでも心を強く惹き付ける魅力は絶大なのですね。