猛禽ちゃん絵柄がとてもきれい!
まず【猛禽ちゃん】という、タイトルからして不思議なこの漫画。
そのタイトルの通り、猛禽類をはじめ、様々な鳥が登場します。
登場人物は女子高生や男子高校生、ファミレスの店長など。
それぞれ個性があり、とても魅力的です。
人物はもちろん、たびたび登場する鳥たち…すごくきれいに描かれています。
羽のひとつひとつ、目の形など、鳥の特徴をよく捉え、尚且つとても愛らしいのです。
作者は話題になった映画“心が叫びたがってるんだ。
”のコミカライズを担当した阿久井真。
すごく魅力的な絵を描く方だなぁと、この漫画を読んでからファンになりました。
【猛禽ちゃん】たちの正体
主人公の猛禽るいをはじめとした、彼女を取り巻く仲間たち。
実はその正体は鳥です。
フクロウ、ペンギン、ヒクイドリなどなど。
それぞれ鳥としての特徴がそのまま人物の個性として描かれていて、勉強になります(笑)
そして主人公のるいに惹かれる男子高校生の小鳥くん。
彼は小鳥という名前ではありますが、れっきとした人間です。
るいと小鳥くんの恋を見守るように、物語はゆっくりと穏やかに進んでいきます。
るいたちが人間になった理由や、そのきっかけは後半で明らかになるのですが、現代に生きる人間として考えさせられました。
【猛禽ちゃん】もどかしいほどピュアな恋!
登場した当初はとてもイヤ~な奴だった小鳥くんですが、るいに対する恋心を自覚してからは、なんだか不器用で、応援したくなります。
そしてそんな小鳥くんに、特別な感情を抱き始めるるい。
けれどその感情が何なのかわからない、と悩む彼女。
ここがとてももどかしい!
元は鳥なので仕方ないのですが、どちらも純粋で愛らしい分、早く両思いに気づいて、幸せになってほしい!と、つい力が入ってしまいました(笑)
そしてそんな二人以外にも、もどかしい人たち、いや鳥たちが何組か居るのですが、そちらも気になる…!
いずれ番外編のようなもので続きが読みたいなぁ。
【猛禽ちゃん】人間と鳥の行く末は…
元は鳥であるるい。
元の姿に戻り、鳥として生きるか、人間として生きるか…
そのことについて考えていたのはるい本人ではなく小鳥くんでした。
好きな人の正体が鳥だったら、確かに悩むなぁ…
そんな小鳥くんの背中を押したのは、彼やるいのバイト先であるファミレスのオーナー。
実は、昔話、ツルの恩返しの主人公なのです。
人間と鳥の恋を知る大先輩として、説得力があります。
小鳥くんに恋をしている人間の女の子や、人間の女の子に恋をしたけれど拒絶された鳥、人間を恨んでいる鳥…
様々な事情を抱えた登場人物たちが居ます。
ファンタジーなお話なのですが、身近に感じられ、つい感情移入してしまいます。
前半はギャグが多めの日常系ですが、後半はるいと小鳥くんの想いが紙面から溢れるようで、すごくドキドキハラハラさせられました。
最後の最後、それまでずっと書き文字だったるいの台詞が、きちんとしたフォントになります。
物語の終わったそこからが、本当のスタートなんですよね。
ああ、続編が読みたいよー!
読者を嫌な気持ちにさせるキャラクターがひとりも出てこないので、何度でも読み返したくなります。
素敵な絵柄で不思議な世界観。
この作者のこれからがとても楽しみです!