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目次

1.「君の名は」に隠れてしまった名作

今年(2016年)の夏に「君の名は」とほぼ同時に映画化されて上映されたが、そんなに注目されずに上映されなくなった作品ですが、実は、原作は漫画で、「少年マガジン」で3回も内容が見直しされて、完結した作品です。

本当は「週間少年マガジン漫画新人賞」受賞作品として連載される予定でした。

しかし、「身体的障害」「過酷ないじめ」というデリケートな問題が含まれていたので、掲載されることなく、眠ることになりました。

2.作者自身も実は悩んでいました

映画化が決まってから、作者本人が当時の作品執筆秘話を語っているのですが、「新人賞を取った時やレベンジで作品を執筆するにあたって、すごく悩みました。

先天性聴覚障害の少女をいじめたことで自分がいじめられることになった少年との関わりの中で、読者や作品を少しでも読んでくれた人に、自分の伝えたいことが伝えにくい難しさに悩んだ」とあるアニメ雑誌に語っています。

新人賞作品として描いた作品だけれども、「人と人とで心を通わせることは難しい」と伝えたかったけれども、その設定に問題があったので、取り上げにくい作品となったのです。

しかし、声で自分の気持ちを伝えるだけが全てじゃないということで「聲」という難しい漢字を使い、五感で、人と心は通じ合うことはできるという結論で、執筆開始になりました。

3.様々な協力のもと連載が始まりました

別作品を少年マガジンで連載していましたが、内部から「連載してみては」という声も出てきて、講談社・法務部や顧問弁護士、そして日本ろうあ連盟との協議の上、一旦別冊少年マガジンで、リメイク版を掲載しました。

賛否両論は出ましたが、抗議がなかったということや、作者サイドも手応えと結論が見出せたので、2013年に本格連載開始になりました。

4.作品の最初は過酷な内容ですが徐々に優しくなります

漫画の舞台のモデルは岐阜県大垣市がモデルとされていて、古風な田舎町に、先天性聴覚障害の硝子がとある小学校に転校してきますが、全てノートに書いて会話をします。

そのクラスにいた将也が補聴器を何度も取り上げては潰し、硝子の母親からの訴えで将也がいじめていたことがわかり、硝子は転校し、将也はいじめのターゲットになります。

いじめにあったお子さんには辛い内容で、ちょっと間違えれば、聴覚障害者へのいじめとも取られてしまいます。

しかし、高3になった将也は、いじめ続けられている中で、いつか硝子に再会できたら、いじめたことを償いたいろ手話を勉強していましたが、もう人生に絶望を感じていたところに、高3になって大人っぽくなった硝子と再会します。

そこから、将也と硝子の行き違っていた心が繋がろうとし始めます。

5.登場人物の心の動きにも注目で最終的には理解し合えるようになっています

小学校時代に硝子の事件で不登校になった女の子、新しく高校で友達になったクラスメイト、将也の母、硝子の母と祖母そして妹、その他に小学校時代のクラスメイトも関わって、いろんな「心の形」が見えてきます。

将也は、いじめられた経験や硝子をいじめた罪深さからなかなか心を開きませんが、どんどん見えてくるそれぞれの心の形を声で表していく表現は、誰も抗議は読んでいてしない作品に仕上がっています。

作者が、「耳からの情報ではなく、心からの声で伝え合いすれ違いながらも、理解し合う努力も必要だ」と言いたかったのだと感じます。

これは日本ろうあ連盟の方が「オリジナルと変えることなくそのままで描いて下さい」という後押しがあって、まとめられた作品です。