本の中に吸い込まれる系のハシリとも言える少女漫画
『四神天地書』という本が巻き起こす壮大な冒険物語です。
『四神天地書』はフィクションですが、似たようなタイトルの本はあるようですね。
本の世界に入りたいと『四神天地書』を探しにいく人も少なくなかったそうです。
実は『四神天地書』は呪い要素が強い、曰く付きの本として作品内で描かれているんですね。
開いた時は全ページ白紙で、誰かが本を開いた時に本自体が呪力を発揮して人を飲み込むことで物語が始まっていくのです。
四神の巫女となった処女はそれぞれの四神と交わり、願いを叶えるごとに身体を喰われていくんです。
それでも、自分のために、他人のために3度ばかりの願い事を叶えるんですね。
本の中だけでなく、現実までも巻き込んだ騒ぎとなってしまうのは新しいですよね。
現実世界にいきなり本の中の人が現れたり、青龍と朱雀2体の四神が戦ってみたり、ホントに起きたら国会が動きますよ。
物語の裏には人間が必ず持っている様々な葛藤や心の闇の部分が描かれています。
主要の登場人物はすべて自分とどこか似ていたり、自分が抱えているコンプレックスだったりを持っているんです。
支配欲や征服欲は誰の心にも隠れていて、悪い面は普段は理性で押し殺されていて、良い面でコーティングしてあるんです。
心宿(なかご)という人物は短所が全面に押し出されたような登場人物でしたが、過去が壮絶すぎて、『そりゃ性格もねじ曲がるよね』って理解できました。
『性格がひねくれてる人はきっと壮絶な過去があったんだ』とふしぎ遊戯を読んでからは思えるようになったものです。
家族想いの主人公結城美朱と孤独な秀才本郷唯
国会図書館の閲覧禁止図書館に入ってしまった結城美朱と本郷唯は二人同時に『四神天地書』に吸い込まれてしまいます。
本の中でいきなり人買いに襲われる本郷唯を助けようと自分が捕まってしまう美朱を助けてくれたのが額に『鬼』という字が描かれた少年でした。
結城美朱と本郷唯の二人は同時に少年に好意をよせていたのです。
まばゆい赤い色の光に包まれて、結城美朱と本郷唯の二人は現実世界に無事生還を果たします。
現実世界に戻って本を読むと、本の中で起きたことが文章で上書きされていました。
帰宅途中母親の不倫現場を目撃した結城美朱はショックを受けつつも、勉強に励んで、その間に本の中で会った少年のことを思い返し日記に書いていました。
しかし、母親が日記を読んでしまったことで自体は急転開を迎えるのです。
母親に不信感を抱いた結城美朱は再び本の中に入ってしまうのでした。
そこで再び額に鬼の文字を持つ少年と出会い行動を共にし、『元の世界に戻る為に朱雀を呼び出す』という目標を持つのです。
こうして、『朱雀の巫女』となった結城美朱は本の中の事実上の主人公となったのです。
一方本郷唯は結城美朱と入れ替わりに本の中に入り込み、『青龍の巫女』となり、結城美朱と敵対の仲となるのです。