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この漫画は学生の頃たまたま書店で見つけた際に、表紙のあまりの繊細な絵柄と少年の耽美さに惹かれて購入しました。

元々小説では稲垣足穂さん、京極夏彦さんが好きだったためストーリーもどんぴしゃり!!そしてストーリーもなのですが、世界観や絵柄も自分の好みにぴったりでした。

内容は稀に続きものもありますが、基本的にはショートストーリー型なのでどの巻から手に取っても楽しめるかと思います。

入り口に大きな柳の木がある骨董屋・雨柳堂と、そこに集まるいわくつきの品々ーーというのがこの漫画のいつもの流れ。

様々な事情や秘められた想いが込められた骨董品たちには楽しかったり哀しかったりするストーリーが込められており、それを主人公である謎めいた少年・蓮が解き明かす。

その謎解きまでもが美しく、うっとりとさせてくれます。

毎度新たな登場人物が出てくるのですが、ショートストーリー型のため繰り返し出てくるキャラクターは蓮とその祖父くらい。

ですが巻数を進めていくごとに、メインキャラクターが増えていきその人間関係やバックストーリーにも骨董品が絡んできます。

時に乱暴で時に茶目っ気のある骨董品たちと各々が抱えている歴史。

古き良き日本の情景や今のようにきちんと定まっていない世の中なのにどこかほっこりして読んでいて思わず笑みがこぼれおちます。

自分は少女漫画や少年漫画など色んなものを読んできましたが、この漫画はそのどちらにも属さないという意味では誰でも楽しめるジャンルではないかと思います。

まるで小説のようで、そして絵画のようで…。

読んでいると心が洗われます。

主人公の蓮はとてもしっかりしていて、でもまだまだ骨董品に憑いている者たちには半人前扱い。

祖父家を空けている時に限ってひょっこりと出てきてなにかと要望や事件をぶつけられる。

しかしそれを仕方がないなぁ…という風に華麗に解決していくのは気持ちの良いものです。

帰ってきた祖父には小言を言われるものの、そんな祖父にもこの前お祖父様もこんな失敗していたじゃありませんか、とサラリと言い返す。

そうして言い返す孫に言い訳をするわけてまもなく確かにそうだ、と頷いてしまう関係性も見所です。

因みにですが、蓮にはそうした骨董品の声が聞こえてくる体質があるのですが祖父の方はからっきし。

にも関わらずなにかと骨董品にちょっかいを出されてしまうなにかと可愛い祖父。

今の日本にはあまりない家族関係ではないかと思います。

更には今の日本にはない常識や、綺麗な着物やお家の絵もこの漫画の魅力の1つです。

そして現代に生きる私たちにとってはこの漫画の世界がすでに昔のことですが、骨董品たちが見せてくれる世界はその更に昔の話。

その時代に触れるられる楽しさ。

日本史が好きな方や、骨董品が好きな方、そして耽美なものが好きな方にも是非是非読んでいただきたい漫画の1つです。

単行本は文庫型なので持ち運びも便利ですが、大判は見応えもありそちらも良いのでお好きな方を手に取っていただければと思います!